イースト・フォートの境域内にあるパドマナーマ・スワーミー寺院は石の彫刻や壁画で有名です。蛇のアナンタに寄り掛かるヴィシュヌ神がこの寺院では祀られ、インドにあるヴィシュヌ神の108つの神聖な祠(ディヴィヤ・デサム)の1つとされています。ヒンドゥー教のバガヴァット・ギーターの聖典によれば、クリシュナ神の兄バララマ(Balarama)がドラヴィダ建築とケララ建築の融合したこの寺院を訪れたといいます。寺院には神秘の蔵があり人間の力では開けられないと信じられています。もし開けようとすれば寺院の敷地内や、周辺、さらにインド中で天変地異が起こるといわれています。ヒンドゥー教の教えにしたがうと公言したものだけがこの寺院に入ることができ、さらにはドレスコードもあります。

現在の寺院の建物は、トラヴァンコール王の中でもかなり有名なマルタンダ・ヴァルマの命により改修されたものです。王は寺院にムラジャパム(Murajapam)やバドラ・デーパム(Bhadra Deepam)のお祭りももたらしました。前者は長い祈りの唱和で、6年に一度パドマナーマスワーミーで開かれます。

祀られる神の偶像はある意味ユニークで、12000個以上の、ネパールのガンダキ川のほとりでとれたサラグラマム(salagramam、ヴィシュヌ神の象徴と考えられている貝の化石)があります。18フィートの長さがあり、石の平板におかれ、部屋の3つの扉から見ることができます。ここにはナラシンハ・スワーミー(Narasimha Swamy、半分獅子、半分人間のヴィシュヌ神の化身)や、ガネーシャ神、ガジャ・ラクシュミの等身大の像もあります。ドワジャ・スタンバ(dhwaja stamba)として知られる金メッキの銅板のついた旗の台もあります。バリ・ピーダ・マンダパム(bali peeda mandapam)やムカ・マンダパム(mukha mandapam)というお堂では壁に神々を飾り、ナヴァグラハ・マンダパ(navagraha mandapa)は太陽系の9つの惑星を表しています。下階には劇場ホールがあり、マラヤーラム暦でミーナム(Meenam、3-4月)やトゥーラ(10-11月)の月にはカターカリが演じられます。寺院の廊下も壮大で、両側に彫刻の施された大理石の柱があります。

寺院には厳しいドレスコードがあり、理想では、男性は(足までかかる長さの)ドウティを着、女性はダルシャン(神への参拝)用のサリーや、半分のサリー、ブラウスとスカートを着なければなりません。

ティルバナンタプラムのその他の魅力