古文書によれば、この世にもあの世にも数多くの巡礼地があるとされていますが、「バドリ(バドリナートの愛称)」以上のものはありません。ヴィシュヌ神信仰の深いバドリナート寺院は、インド国内で最も重要な巡礼地の一つです。チャールダームと呼ばれる四大聖地に属し、ヒンドゥー教徒の信仰を集めています。巡礼者は偉大なるヒマラヤの峰々を渡り、この聖地まで厳しい旅路を踏むのです。

バドリナート寺院は尖塔であり、雄々しい牛の角のような螺旋状の小型キューポラが併設されています。ヴェーダ時代にまで遡るその起源については諸説ありますが、9世紀ごろグール・アジ・シャンカラチャルヤによって創立されたとの説が有力です。

寺院は3つのセクションから構成されています。「ガルバグリハ(至聖所)」、「ダーシャン・マンダップ(プジャホール)」、そして巡礼者の集会所となる「サブハ・マンダップ(中庭)」があります。現存する建物はガーワル諸王によって建設されたとされています。両手を挙げ、「チャンクハ(巻貝)」と「チャクラ(法輪)」を抱えたバドリナート、すなわちバドリ・ヴィシュアルの像を拝むことができます。腕の2本はヨガムドラのポーズで膝の上に置かれています。黒石で造られたヴィシュヌ神の主像は、瞑想の姿を掘ったものです。当時院はさらに神鳥ガルーダやナラヤン神の乗物、アディ・シャンカラチャルヤ、スワミ・デシカン、シュリ・ラマヌジャンの祠にもなっています。

バドリナートのその他の魅力